芹沢の来迎寺で百万遍数珠繰り念仏 2018/10/10(水) (晴)

浄土宗 芹澤山来迎寺
平成30年10月10日

茅ヶ崎市芹沢の来迎寺で百万遍の大数珠を回しながら念仏をとなえる行事が行われました。
来迎寺は山号を芹澤山といい、茅ヶ崎市芹沢3291にある浄土宗のお寺です。
芹沢の丘陵地の西の端にあって、西を向いて建てられています。
『新編相模国風土記稿』には、
本尊 阿弥陀、開山然誉善芳 永禄七年(1564)二月二十六日卒
とありますから、450年ほど昔に創設されたお寺です。

来迎寺から数百メートル離れたところに光照山普門寺というお堂が、平成28年8月まで建っていました。
『風土記稿』には来迎寺の寮なりと記されています。
普門寺のことを土地の人たちは下馬落觀音堂(げばらくかんのんどう)と呼んでいました。

今は無い観音堂(平成28年8月撮影)
観音堂の跡地(平成30年10月撮影)

ご本尊の木造観音菩薩立像はたいへん霊験あらたかで秘仏とされていて、このお堂の前を馬に乗ったまま通りかかると、その無礼によって落馬すると伝えられていたからです。
秘仏ですから33年経たないと拝めませんでした。またその半分の16年目には中開帳が行われてきました。
このお堂は地元の念仏講の人たちによって維持されてきましたが、世の移ろいとともに講中のメンバーが少なくなり、お堂も老朽化が進んだことから、平成28年9月に取り壊されました。中に祭られてきた本尊の観音様とその御前立の観音様、その他六観音のお像などは来迎寺に移されてお祭りされることになったのです。

観音堂で行われた最後の百万遍念仏

同年8月には観音堂で最後の百万遍数珠繰り念仏が行われました。
次の年、29年10月10日には、来迎寺に遷座して初めての百万遍念仏が行われました。
そして今年10月10日にも来迎寺で2回目の百万遍が行われたのです。
10月10日という日が下馬落觀音様のお祭り日だからです。

来迎寺に移ってからは、希望する人はこの百万遍念仏に参加することができるようになりました。
始めにご住職の開式があり、次に大数珠を回しました。最後に老僧による法話がありました。

開式の挨拶
ご住職の法話
厨子の前は御前立の観音様。ご本尊は厨子の中。

ご本尊の次のお開帳は2023年だそうです。

観音堂には元和3年(1627)から平成18年(2006)までの22枚の棟札が残されていて、これも来迎寺に移されています。
この中の最も古い年号銘の元和3年(1617)の棟札に、この年にお堂が再興されたと書かれています。
また、2番目に古い慶安4年(1651)銘の棟札には天文九年(1540)兵火にて失す 本尊は清水谷に安置なり しかるに元和三巳年、今の寺地へ再建とあります。このとおりだったとすると、冒頭に記しましたように来迎寺の開山然誉善芳の卒年は永禄7年(1564)と『風土記稿』にありましたから、観音堂の創建は来迎寺より古いことになってしまいます。

photo & report 芹澤七十郎

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