南湖(なんご)の仲町 西組講中の稲荷講 2021.2.11

2月の初午(2月になって最初の午の日)には稲荷様を祭ります。
今年の初午は2月3日でした。
しかし、南湖3-4-6にある稲荷神社では11日に稲荷講が行われました。
この神社は、南湖上町と仲町の西講中と東講中の三組の稲荷講中で祭っていて、この三組が順番交替で祭礼を担当します。仲町西組は2018年に行い、また今年、当番が回ってきました。

海に面している南湖には、以前は漁業にたずさわる人たちが大勢住んでいました。
お稲荷様は農業の神様でもありますが、漁村でも多くの家々で祭られています。
個々の家には屋敷稲荷を祭り、また十数軒が講中(こうじゅう)を組んで祭っています。
昔、講中では、その中の一軒が交代制のやど(宿)となり、講中が集まって飲み食いをしました。これを稲荷講(いなりこう)といいます。
昔はそのときにオハケサンという祭壇を縁先に作りました。

上の左側のスケッチは『茅ヶ崎に伝わる稲荷講』(三橋伊勢松著 茅ヶ崎郷土会 印刷時は不明)から取りました。
右側の写真は、南湖の下町のM家がヤド(宿)をしたとき縁先に作られたオハケサンです。『茅ヶ崎市史』3(考古・民俗編 昭和53年-1978-3月茅ヶ崎市刊)の564頁に掲載されています。
同じ頁に次の様な解説が付けてあります。約40年くらい前の様子です。
漁村では三日もかけて稲荷講を盛大に催したという。宿の縁先に、オハケサンという祭壇をつくり、早朝に海から取ってきた砂を敷く。油アゲ・カケノウオ(掛けの魚)・赤いご飯が欠かせない供え物である。オハケサンにはオヤス(藁で作った筒状の容器)もつける。子どもたちにとっても楽しい祭りであって、夜、子ども同士集まって、太鼓をかついで叩きながら、縄ばりの中を歩いた。

時代が変わって、最近は講中を解散するところもあるようです。
オハケサンを作る民俗はもうないものと思われます。

photo 稲荷神社の稲荷講 尾高会員
    オハケサンの画像など 芹澤七十郎
report 芹澤会員

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